【実体験】タイの友人と自転車で京都めぐり

【実体験】タイの友人と自転車で京都めぐり


〇 ナナを迎える秘策は自転車作戦

 春のやわらかな陽ざしが差し込むある日、タイから来日した友人ナナと京都で再会した。彼女とは語学交換サイト「Interpals」で知り合い、メッセージのやり取りを重ねるうちに、気づけば親しい友人になっていた。

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 「ついに日本に行くよ!」という彼女からのメッセージを受け取ったのは数ヶ月前のことだった。宿泊先は京都の中心地にある小さなゲストハウス。約束の日、僕はそのゲストハウスまで迎えに行った。

 玄関先に立っていたナナは、これまで写真で見ていた通りの愛嬌のあるスマイルで手を振ってくれた。バンコクの官庁で働くナナだが、顔立ちはアジア人離れして彫りが深く、特にそのまなざしは思わず惹きつけられそうになるくらいだった。

 そのゲストハウスではレンタサイクルの貸し出しも行っており、今日は自転車で京都を巡ることにした。
 観光シーズンの京都はとにかく混雑している。特に秋はひどい。以前、同じような紅葉シーズンにバスで京都を回ったのだが、とにかく渋滞がひどく、歩道を歩いている人の方がバスよりも早かった。本当の話である。
 しかし、自転車なら渋滞に巻き込まれることもないだろう。すいすいと目的地へ向かうことができる。僕はこの自転車作戦を、ナナと会うことが決まった数か月前から目論んでいたのである。

〇 鴨川かチャオプラヤ川か

 まず僕たちは川端通を北上し、鴨川沿いのレストランに入った。川の流れを見下ろせるテラス席に座り、ゆっくりとランチを楽しんだ。ナナは和風のパスタを頼み、上手にお箸を使いながら「美味しい!」と笑顔を見せていた。

 「バンコクにも、チャオプラヤ川を眺められるレストランがあるの。でも、やっぱりぜんぜん違うね」とナナは言った。
僕たちにとっては見慣れた風景も、異国から来た彼女には特別なものに映ってるんだな。そう思いながら、「僕はチャオプラヤ川を見てみたいな」と言った。

 その後、五条大橋へと向かった。橋の上では記念写真を撮ったり、川の流れを眺めたりした。

 「この橋は、源義経と武蔵坊弁慶が出会った場所なんだ」と僕が説明すると、ナナは目を丸くして興味津々に話を聞いてくれた。
いや、目が丸くなっていたのは僕のほうかもしれない。鼻高々で説明する僕も、五条大橋は初めてであり、小説やドラマでおなじみのシーンを思い描きながら、ぼーっと橋の下を見つめていた。あの時も、こうやって川は流れていたんだろうな。

〇 コーフンしているのはどっちだ!?

 その後、清水寺で観光客をかき分けながら参拝した後、八坂神社へと向かった。ここも参拝客でにぎわっていたが、清水寺ほどじゃない。
 八坂神社は外国人向けのガイドブックで大きく取り上げられているようで、実際に見る赤い鳥居や本殿の荘厳さにナナは声を上げて感動していた。実は、僕も八坂神社に来るのはこれが初めてだった。正直、写真もそんなに見たことなかったので、たぶん内心はナナよりもコーフンしていたと思う。

 その合間には、何度か和菓子やお抹茶の店にも立ち寄った。ナナは「あんこ」に対して少し構えていたが、大福やどら焼きを一口食べた途端、「これは美味しい!」と笑顔を浮かべた。その姿を見て、日本の食文化の奥深さや、味覚を通じての交流の面白さを再認識した。

〇 どうする?渋滞回避も会話ができない自転車観光

 自転車での京都観光は、基本的には快適で気持ちの良い体験だった。市バスの混雑に巻き込まれることもなく、観光地の近くまでスムーズに移動できた。しかしひとつだけ誤算だったのは、移動中に会話がほとんどできなかったことである。

 自転車は基本的に縦一列で走行するため、横並びで話すわけにはいかない。後ろから話しかけても声は風にかき消され、結局、信号待ちの時しかまともな会話ができなかった。「見て!あの景色きれい!」と伝えたい時も、しばらく我慢することになる。
んー。何か解決策はないかなぁ。

 それでもやっぱり、ナナとの時間はかけがえのないものだった。言葉や文化の壁を超えて、一緒に体験を共有することの喜びは、何ものにも代えがたい。

〇 友情を支えた英会話特訓

 ちなみに、ナナと英語で自然に会話ができたのは、日頃からネイティブキャンプ」で英会話の練習をしていたおかげである。ネイティブキャンプは、スマホさえあれば24時間いつでもレッスンが受けられるオンライン英会話サービスで、仕事や勉強で忙しい人にもぴったりだ。旅行前の「ちょっと話せるか不安」というときにも、実践的なトレーニングができる。

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 その日は夕方まで、京都の小路を自転車であちこち巡った。途中、知られざる古い神社や、地元の人しか行かないような小さな甘味処にも立ち寄った。ふと立ち寄った路地裏の茶屋では、ナナが「日本って、ほんとにアニメの中の世界みたい」と言っていたのが印象的だった。

 最後に、ゲストハウスの近くの小さな公園のベンチに座りながら、「いつかまた来たいね」と言い合った。別れ際、ナナは「今日のこと、一生忘れないと思う」と言った。
「僕もだよ」

 この日から2年後、僕はバンコクを訪れることになる。そしてそのとき、再びナナと再会し、今度は彼女が僕を案内してくれた。次回は、そのバンコクでの思い出の話。どうぞお楽しみに。