空の上で出会ったミャオ族の彼女 〜海南島留学の最後に起きた偶然の物語〜

空の上で出会ったミャオ族の彼女 〜海南島留学の最後に起きた偶然の物語〜

海南島での短期留学が終わり、僕は乗換地である広州で1泊した。翌朝出発ロビーに向かう途中、どこか心がふわふわしていた。むし暑い気候と濃厚なご飯の味、ちょっとクセのある発音の中国語、そして出会った人々の笑顔や優しさが、頭の中で反芻されていた。学校を出発する直前に、いつもかよっていた校門の隣のご飯屋さんで、いつも食べていた「チャオフェン」をテイクアウトして、空港で食べた。名残惜しさと帰国の安堵が混じり合う、何ともいえない感情

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出発ゲートに近づいて、チェックインの列に並んだとき、不意に前の方に立っていた女性に目が留まった。黒く艶やかな髪をひとまとめにして、ブランド物のバッグを肩にかけていた。その姿がとても洗練されていて綺麗で、凛としていた。「きれいな人だな」と思った。そんなふうに誰かを見つめたのは、1か月間の中国滞在では2度目である。

まさかその彼女と、飛行機の中で隣り合わせになるなんて、その時の僕には想像もできなかった。

機内に入り、自分の座席を探していると、僕のチケットは窓側。先に座っていた彼女が、通路側の席にいた。間にひとつだけ空席を挟んで、3列シートの両端に僕たちは座った。ほんのわずかな驚きと、かなりの嬉しさ

離陸すると、彼女はすぐにブランケットを取り出し、肩からかぶるようにして静かに目を閉じた。顔の半分は隠れていたけれど、時折揺れるまつ毛や、肩にかかる髪が照明に照らされていて、なぜか見とれてしまった。僕はただ窓の外をぼんやり眺めながら、でも彼女の存在を強く意識していた。

しばらくして機内食の時間になった。客室乗務員がトレーを配り始めた頃、真ん中の空席をまたいで、彼女が手を伸ばし、僕のトレーを渡すのを手伝ってくれた。その瞬間、初めて正面から目が合い、僕たちは笑った。とても自然で、でも心に残る笑顔だった。

それから少しして、僕が外の景色を眺めていたとき、突然彼女が僕の肩を「ツンツン」とつついた。

「有没有笔?」

中国語で「ペンある?」と聞かれた。あたふたしながらペンを手渡すと、彼女はにっこり笑って「谢谢」と言い、入国カードを書き始めた。

それがきっかけで、いろいろな話をするようになった。彼女は中国の桂林の人で、少数民族のミャオ族だという。今は東京で働いているのだという。まだ日本語は流暢というほどではなかったが、とても聞きやすい普通語を話したので、僕たちは中国語で話した。

「日本にはどのくらいいるの?」
「2年くらい。吉祥寺に住んでいるの。あなたは?」
「僕は名古屋に住んでいるよ。名古屋には行ったことある?」
「1度行ったことある。友達がいて」

そんなふうに会話が続いて、気づけば着陸のアナウンスが聞こえてきた。成田に到着し、入国審査を終えて到着ゲートを出ると、彼女が僕の方を向いて言った。

「一起拍照,好不好?」
(いっしょに写真撮らない?)

まさかそんな展開になるなんて思ってもいなかったけど、笑顔でうなずいて、近くにいた人に頼んで写真を撮ってもらった。記念写真は、不思議と自然な距離感だった。

そして僕たちは、次の日も合うことになった。

僕たちは吉祥寺駅で再会した。昨日知り合ったばかりとは思えないくらい、会った瞬間から空気がなめらかに流れていた。まずは井の頭公園を少し歩いて、それから駅前のカフェでランチ。彼女はパスタを食べながら「日本の味、やっぱり優しいね」と笑った。

ランチのあと、「時間ある?」と聞かれて「うん」と答えると、彼女は「じゃあカラオケ行こう」と提案してきた。カラオケなんて久しぶりだったけど、こんな流れなら断る理由なんてない。

カラオケでは、中国のバラード、日本のアニメソング、英語のポップス――さまざまな歌が飛び交った。歌っているうちに、彼女が「一緒に写真撮ろう」と言い、僕との距離を詰めた。

最初は普通のツーショット。でも、彼女は「もう一回、今度はもっと笑って」「こっちからの角度がいいかも」と言って、何度も撮り直しを要求してきた。そのたびに距離が近くなって、ついには肩がふれあい、指先が触れるようになった。お互い笑いながらも、どこかで少し照れていた。

ただの偶然で隣になっただけなのに、こんなにも距離が縮まるものなんだ――そう思いながら、僕は彼女との時間を静かに、でも確かにかみしめていた。

その日を境に、僕の中の“外国の友達”という言葉の意味が少し変わった気がする。

人と人が心を通わせるのに、国籍や文化は関係ない。大事なのは、ほんの一瞬の「目が合った」「笑った」「声をかけた」そのタイミングを、大事にできるかどうかなんだと思う。

空の上から始まった、小さな物語。
今でもふとした瞬間に、あの笑顔を思い出す。

その後の再会と中国語学習

この出会いは一度きりでは終わらなかった。
その後も僕は東京に行くたびに彼女と僕たちは会った。新宿のカフェでお茶をしたり、上野で美術館を歩いたり。会うたびにもっと深く話したい気持ちが募った。

でも同時に、自分の中国語の拙さに何度ももどかしさを覚えた。彼女の言葉をもっと理解したい。自分の気持ちをもっと自然に伝えたい。そう思うようになった。

だから、海南島での短期留学を終えて帰国したあとも、僕は中国語の学習を続けることにした。
そのときに出会ったのがネイティブキャンプ だった。

ネイティブキャンプはオンライン英会話として有名だけれど、中国語レッスンも受けられる。しかも予約不要で、思い立ったときにすぐ話せるから、忙しい日々でも継続しやすかった。
最初はぎこちなかった発音も、毎日少しずつ積み重ねるうちに「通じた!」という瞬間が増えていった。

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あのとき飛行機で隣に座った彼女との出会いがなければ、僕はここまで中国語に本気にならなかったかもしれない。
でも、出会いは人を動かす力を持っている。そして、その出会いを大切にしたいと思うなら、言葉を学ぶことは最高の投資だ。

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